開祖の志とは?

宗道臣は、1911年に岡山県で生まれました。幼少期から武道に強い興味を持ち、戦時中に中国に渡り、様々な武術を学びました。そして中国の河南省にある嵩山少林寺に師と同行した際に、白衣殿にある「羅漢練拳図」の壁画を目にした開祖は衝撃を受け、開祖は中国での経験を通じて、強さだけではなく、心を鍛えることの重要性に気づき、日本に帰った際にはこの羅漢練拳図にあるように楽しく、相手を思いやれるこれまでの武道とは異なるものを創始しようと誓いました。特に、開祖が中国で経験した戦争の混乱や暴力の中で、人々の不幸は物質的なものだけではなく、精神的な成長の不足に原因があると確信しました。これが、後に少林寺拳法の理念を形成する大きな要因となります。

少林寺拳法の創始

戦後の混乱期に宗道臣は、日本の社会が荒廃し、人々の心がすさむ中で、真の強さとは何かを追求しました。彼は、ただ強さを追求するだけでなく、「人間の幸福は心の強さから生まれる」という信念のもと、1947年に香川県多度津町で少林寺拳法を創始しました。

少林寺拳法は、単に武術としての技を教えるだけでなく、社会に役立つ人間を育てることを目的としています。宗道臣は「人づくりの道」を掲げ、技術とともに精神修養を重視します。彼は常に、社会の中で他者と協力しながら自己を高めることの重要性を説き、「自分を守る力」だけでなく「他人を助ける力」を持つことを求めました。

少林寺拳法　開祖の思想

宗道臣は、武道を通じて個々の人間が強く優しくなり、他者と共に生きる社会を築くことを目指していました。彼は、自己を高めるためには他者との関わりが欠かせないとし、少林寺拳法の練習を通じて「共に学び、共に強くなる」ことを強調しました。彼の言葉である「自分だけの幸せはない。他人の幸福と共にある」といった「自他共楽」という理念は、現在も少林寺拳法の教えとして広く受け継がれています。

技と精神の調和

少林寺拳法の技術体系は、（突き・蹴り・打ち・切り・かわしなど）の剛法と、投げ技、関節技などの柔法など多岐にわたります。しかし、それらの技は自己防衛の手段としてだけではなく、精神的な成長を促すものと位置づけられています。日々の稽古を通じて、身体の強さと心の平静を養うことで、社会に貢献できる人間へと成長することが目指されています。

少林寺拳法は “人づくりの行”。