毎年この時期になると、私たちが最も気をつけなければならないことのひとつが「熱中症」です。
少林寺拳法 一宮中部道院では、2023年・2024年と過去2回にわたって熱中症に関するブログ記事を書いてきました。
過去記事:熱中症対策を考える(2023年)
過去記事:熱中症について改めて学ぶ(2024年)
今年もあの夏がやってきます。
過去の記事で伝えてきたことをベースにしながら、2026年の最新情報と道院での取り組みを改めてまとめておきたいと思います。

2026年、今年の暑さはどうなる?
2026年の気温の見通しとして、春(3〜5月)は平年より高め、夏季(6〜8月)は平年より高いとの予報が出ています。特に暑熱順化(暑さに慣れること)が十分でない時期に急激に気温が高くなると、熱中症発生のリスクは高くなります。
厚生労働省愛知労働局の熱中症のページ
「熱中症は真夏に起きるもの」という油断が一番危険です。
梅雨明け直後の「急激な気温上昇」のタイミングで身体が暑さについていけず、毎年多くの事故が起きています。

2024年、職場熱中症の死傷者が過去最多に——武道の場でも他人事ではない
厚生労働省の最新データは、状況の深刻さをはっきりと示しています。
2024年の職場での熱中症による死傷者数は1,257人と、統計を取り始めた2005年以降で過去最多となりました。そのうち死亡者数は31人にのぼっています。
厚生労働省「職場でおこる熱中症」
これはあくまで「職場」での数字ですが、スポーツ・武道の場面でも状況は変わりません。
また月別の発生状況をみると、7月・8月の2ヶ月間に約8割が集中しており、時間帯は午前中から午後3時前後に多く発生しています。
さらに、気温が下がった17時台以降に死亡に至るケースも少なからずみられ、日中に重篤な症状はなかったにもかかわらず、作業終了後や帰宅後に体調が悪化した事案も含まれています。
稽古が終わってから体調が悪化するケースがある——これは指導者として特に念頭に置くべき事実です。

熱中症のメカニズム:なぜ室内でも起きるのか
過去の記事でも書きましたが、改めて整理しておきましょう。
熱中症の重症度分類(ガイドライン2024)
「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分および塩分のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節などの体内の重要な調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。
症状として、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温などが現れます。
室内でも気温・湿度が高ければ同じリスクがあります。
剣道(ランキング6位)のように防具着用の競技では特に体温が上がりやすく、少林寺拳法も道着を着た状態での身体活動ですから、油断は禁物です
子どもは特にリスクが高い
こどもは体温調節機能が未発達——周囲の大人が管理する責任
子どもは新陳代謝が活発なため、汗や尿として出ていく水分が多く、脱水を起こしやすい体です。喉が渇く前に少しずつ水分と塩分を補給させましょう。本人が「喉が渇いた」と思ったときには、もうすでにかなり水分が失われています。
子ども家庭庁「「こどもの熱中症」を防ぎましょう!」
こどもは体温の調節能力が十分に発達していないので、周囲が気を配る必要があります。
水分・塩分補給の正しい知識
2023年の記事(→過去記事はこちら)でも触れたオリジナルスポーツドリンクの考え方は、今もエビデンスに基づいたものです。
水分・塩分補給の正しい知識(エビデンスに基づく解説)
汗からは水分と同時に塩分も失われます。0.1〜0.2%程度の塩分(1Lの水に1〜2gの食塩)を補給できる経口補水液やスポーツドリンクを利用するとよいでしょう。
学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き
激しい運動では休憩は30分に1回以上とることが望ましいとされています。
オリジナルスポーツドリンクのレシピ(2023年版を再掲)
市販のスポーツドリンクは甘みが強く糖質過多になりやすいため、薄めて使うか、水と塩(少量)を組み合わせる方法もおすすめです。
過去記事で紹介したハチミツ・塩・レモン汁で作るオリジナルドリンクも、このエビデンスに沿ったものでした。

一宮中部道院の熱中症対策:業務用エアコン2台の意味
武道の道場にエアコンは必要か——時代と安全基準の変化
ここで少し、道院としての環境整備についてお伝えしたいことがあります。
「武道の道場にエアコン?」——ひと昔前なら、そう思う人も多かったかもしれません。「苦しい環境の中でこそ精神が鍛えられる」という価値観は、私たちの世代では当然のものでした。
水も飲むなと言われた時代を過ごしてきた私が(笑)、今こうして熱中症対策を語っていること自体、時代の変化を感じます。
しかし、データは明確に示しています。子どもたちの安全を守ることが、正しい武道教育の前提です。
一宮中部道院の取り組み:業務用エアコン2台設置の意味
一宮中部道院の修練場(剱正幼稚園本堂)には、業務用エアコンが2台設置されています。
家庭用とは異なり、広い空間を効率よく冷やすことができる業務用エアコンは、稽古中の室温・湿度管理において大きな役割を果たしています。


エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など涼しい場所をできるだけ選び、体調の変化に気をつけ、早めの水分補給などを心がけましょう。
(厚生労働省) Ministry of Health, Labour and Welfare
これは武道の場でも同じです。
涼しい環境の中でしっかりとした技術・精神の修練を行うことと、根性論で危険な環境に子どもを置くことは、まったく別の話です。
本当の意味での強さは、安全な環境の中でこそ育まれると私は考えています。
今夏、道院で実施する具体的な熱中症対策
① 業務用エアコン2台による室温管理
稽古開始前から稼働させ、室温と湿度を適切に保ちます。
② 30分に一度以上の水分補給タイム
子どもたちが「大丈夫」と言っても、指導者側から声をかけます。
③ スポーツドリンク・経口補水液の活用推奨
水だけでなく、塩分・糖質のバランスを考えた補給を勧めます。
④ 稽古後の体調確認
帰宅後に体調が悪化するケースもあるため、帰る前に本人・保護者へ声がけします。
⑤ WBGT(暑さ指数)の参照
環境省の熱中症予防情報サイト
時代と共に変化 「まずは自分の身は守ろう!」
少林寺拳法は「護身」を学ぶ武道です。
そしてその「護身」の基本は、まず自分自身の体を守ることから始まります。
体調管理が護身の基本——これは2023年の記事でも書いたことですが、今も変わらない道院の考え方です。
今夏も、子どもたちひとりひとりの安全を第一に、しっかり修練に励んでいきましょう。
保護者の皆様も、稽古前の水分補給・体調確認へのご協力をよろしくお願いいたします。
安全にこの夏を乗り切り、少林寺拳法を楽しもう!
上記の記述に気配りをし、暑い夏でも皆が大好きな少林寺拳法をもっと楽しもう!
楽しい夏に向かって!!
一緒に暑い夏でも、安全に少林寺拳法を楽しみましょう!少林寺拳法一宮中部道院は安全な夏を一緒に楽しみましょう!体験は随時申し込み可能です。

一宮市を含め、今年の夏は全国的に暑いんですね……。
少林寺拳法の道着は布がしっかりしていて、破損しにくいですが、熱がこもりやすい気がします。適度に熱を逃がすことも熱中症対策に繋がると思います。
また、武道に限らず、体を動かす習い事に水筒やペットボトルを持っていくことは当たり前になってきています。私は普段お茶を持ってきていますが、塩分の補給のためにスポーツドリンクに変えたり、塩分チャージを持ってくるなど工夫していきます。
美緒莉、コメントありがとう!
塩分チャージはたくさん買っておくね・・・
頑張ってる皆が、少しでも快適に稽古に打ち込めればと思います。
何か気づいたことがあったら言ってね・・・
少林寺拳法の修行において、熱中症の問題は、避けて通れない問題です。他の武道及びスポーツ等も直面している問題です。何年も前から、取り組んで門下生の身体を守り、修行をされており、一緒に学ものとして、尊敬に値します。これからもよろしくお願いいたします。
小澤さま
コメントありがとうございます。
一宮中部道院では、一生懸命楽しむをモットーに20年やってきています。
そんな環境を考慮するのが指導よりも大切なんだと思うようになっています。
時代の変化もありますが、これからも良いものは良いと言える形で運営していきますので
よろしくお願い申し上げます。
美緒莉 ありがとう!
自分を守るといった意味ではこれも護身術です。
頑張っていこうZ
年々暑くなっていくので熱中症対策は必須ですね。
一宮中部は、涼しい環境の中演武ができますが、涼しいからと言って熱中症にならないとも限りません。しっかりと水分を取ることは大切だと思います。オリジナルスポーツドリンクは、1度2度作ったことがありますが、しっかりスポーツドリンクの味がするのでオススメです。1度作ってみて飲んでみるといいと思います。
由奈、コメントありがとうございます。
オリジナルスポーツドリンク、再度美味しく作れたら私の分も作ってください(笑)
こうした方がいいのでは?ということがあったら是非教えてください。
いよいよ本格的なに熱中症の季節です。
一宮中部道院の熱中症に関しては、かなり密度の高い考えかたと対応をされているとかんじます。夏は勿論、冬においても、安心して修練に集中できる環境であると痛感いたじす。
林本さま
コメントありがとうございます。
少林寺拳法でも基本レギュレーションはあると思いますが、道院谷の環境は異なると思います。
私たち一宮中部道院では、現在考えられる形でできる最適な形を目指し、皆が安心して稽古ができる環境を整えられればと思います。
気づいた点は改めてご教示ください。
よろしくお願いします。