
これまでの指導コラムでは、「褒めるのではなく感謝を伝える」「失敗を恐れる子への向き合い方」「自己肯定感の育て方」「思いやりの心」など、指導者から子どもたちへの関わり方についてお話ししてきました。
今回は、少し視点を変えてみたいと思います。
20年間、子どもたちを指導する立場に立ち続けてきましたが、正直に言うと、教えているつもりで、実は教えられていたと感じる瞬間が何度もありました。
先日の全国中学生大会で、8年ほど前まで一宮中部道院で共に稽古をしてきた小学生の姉妹が千葉県に引っ越してしまった拳士が千葉県の代表となり、久しぶりに会場で会うことができ、感無量の気持ちになりました。
そんな点から、8年前を振り返り、指導者である自分自身が、拳士たちから勇気づけられた、忘れられない出来事についてお話しします。
「指導する側」が学ぶ、ということ
指導者は、子どもたちに技術や心構えを伝える立場です。
しかし、その関係は一方通行ではありません。
「教える」だけの関係は、長く続かない」
一方的に「教える」「教わる」という関係だけでは、指導者自身が疲弊してしまいます。
子どもたちの成長を支えるためには、指導者自身も、子どもたちから何かを受け取り続ける必要があります。
少林寺拳法の「自他共楽」は、指導者にも向けられている
「半ばは自己の幸せを、半ばは人の幸せを」という自他共楽の教えは、拳士同士だけの話ではありません。
指導者もまた、拳士たちとの関わりの中で自分自身の幸せや成長を見出していく、という意味が込められています。
【実例】指導者が、拳士に勇気づけられた日
ある時期、私自身、指導の方向性に迷いを感じていた時期がありました。
「本当にこのやり方で、子どもたちの心に届いているのだろうか」と、自信が持てずにいたのです。
何気ない一言が、指導者の心を支えた
そんなある稽古の帰り際、一人の拳士が、こう声をかけてくれました。
「先生、いつも『ありがとう』って言ってくれるの、僕、嬉しいです。
だから僕も、友達に『ありがとう』って言うようになりました」
その子は、自分が変わったことを、まっすぐに伝えてくれただけでした。
けれど、その一言が、迷いの中にいた私にとって、何よりの支えになりました。
「感謝を伝える指導」は、指導者自身も支えている
これまでのコラムで「感謝を伝えることで子どもが変わる」という話をしてきましたが、実は、その言葉は指導者自身にも返ってきます。
子どもが感謝を受け取り、それを誰かに手渡していく姿を見ることこそが、指導者にとって一番の励みになるのです。

「教える」と「教えられる」は、同時に起きている
技術を教えているのは指導者です。
けれど、「人を思いやることの尊さ」「素直に感謝を伝えることの力強さ」を、指導者自身が拳士たちの姿から教えられている
――そう感じる瞬間が、稽古のあらゆる場面にあります。
なぜこの視点が、道場選びで大切なのか
保護者の皆様が道場を選ぶ際、「どんな指導者が、どんな姿勢で子どもと向き合っているか」は、技術指導の内容と同じくらい大切な判断材料です。
一方通行ではない関係が、道場の空気をつくる
指導者が「教える立場」に固執せず、拳士たちからも学ぼうとする姿勢を持っていると、道場全体に「対等に高め合う」空気が生まれます。
これは、子どもたちが安心して自分の気持ちを表現できる環境づくりにも直結します。

「自他共楽」を体現しているのは、指導者自身
理念を言葉で語るだけでなく、指導者自身がその理念を日々実践し、子どもたちから学び続ける姿勢を持っていること。
それこそが、一宮中部道院が20年間大切にしてきた在り方です。

よくあるご質問
Q 少林寺拳法の指導者は、どのような姿勢で子どもと向き合っていますか?
一方的に技術を教え込むのではなく、子どもたちとの関わりの中で指導者自身も学び、成長するという姿勢を大切にしています。一宮中部道院では、「自他共楽」の理念を指導者・拳士双方向の関係として実践しています。
Q 「自他共楽」とはどのような意味ですか?
「半ばは自己の幸せを、半ばは人の幸せを」という意味で、自分の成長だけでなく、相手と共に高め合うことを大切にする少林寺拳法の教えです。この理念は拳士同士だけでなく、指導者と拳士の関係にも当てはまります。
Q 道場を選ぶ際、指導者のどんな点を見ればいいですか?
技術指導の実績はもちろん重要ですが、指導者が子どもたち一人ひとりとどのような関係性を築いているか、見学時に感じ取ることをおすすめします。一宮中部道院では、指導者自身が拳士たちから学び続ける姿勢を大切にしています。
📖 【あわせて読みたい関連コラム】
👉 第一弾:「褒める」より「ありがとう(感謝)」が子どもを伸ばす
👉 第二弾:「評価」から「共感」へ。失敗を恐れる子の自律と克服


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